中古住宅を購入してリノベーションするメリットや費用
中古住宅を購入してリノベーションするメリットや費用
中古住宅を購入してリノベーションするのは、なんだかハードルが高く感じられる方もいるでしょう。中古物件よりも新築を購入した方が安心と考える方もいるかもしれません。ここでは、中古住宅を購入してリノベーションするメリットと、費用について解説します。住宅購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
中古住宅のリノベーションとは
少し前まで、リノベーションやリフォームといえば長年住み続けた家を修繕したり、ライフステージに合わせてお家を一新したりすることを指していました。しかし最近では、中古住宅を購入して自分好みの間取りや生活空間に変えて住む方が戸建て、マンション問わずに増えています。
中古住宅のリノベーションが増えた理由は、新築購入では得られない魅力があるからです。次項から中古住宅をリノベーションするメリットを解説すると共に、デメリットについても解説します。
リノベーションのメリット
中古住宅を購入してリノベーションするメリットは5つあります。新築住宅を購入するか、中古住宅を購入するか悩んでいる人は参考にしてください。
費用を安く抑えられる
中古住宅は新築購入と比べると、購入費用が安く抑えられます。国土交通省が行った「平成28年度住宅市場動向調査」によると、分譲一戸建て住宅の平均は3.810万円、中古一戸建て住宅は2.693万円と、1.100万円以上の差があることがわかっています。また、自分好みの家を建てたい場合、新築であれば注文住宅を建てることになるでしょう。分譲一戸建ての購入費用よりも費用が高く、工事費などがかかります。しかし中古住宅の場合は、購入費用を抑えてリノベーション工事費用を支払うことで自分好みの家を作り出せます。購入費用が安く抑えられ、リノベーション工事は材料選びや工事を行う内容を決めれば、低価格で収められるのが特徴です。
新築を購入するのは難しいけれど、将来のことを考えて家を購入したい人には一つの選択肢となります。
自分好みの部屋にできる
リノベーションの一番のメリットは、自分好みの家にできることです。分譲住宅を購入した場合、間取りやキッチンの配置、設備などは予め決められています。決まった中から、自分たちのライフスタイルに近いものを妥協して購入される方も多いでしょう。中古住宅を購入してリノベーションした場合、自分たちが住みやすいように間取りを変更できます。例えば、リビングが広く繋がっている住居の場合、リビングスペースを小さくして独立した部屋を作ることもできます。家族のライフスタイルに合わせて自由に内装を変えられるのは、リノベーションならではでしょう。
また、和室を洋室に変えたり、反対に洋室を和室に変えることもできます。洋室の場合、床材から自分で選べるためお部屋の雰囲気も自分好みに仕上げられます。リノベーションならば、自分の中で思い描く家を形にできるのです。
新築よりも手に入れやすい
新築住宅の購入を考えていても、タイミングによっては希望に応じた物件が見つからない時もあるでしょう。特にマンションの場合、建設が決まったタイミングで入居者の募集を始めます。人気の物件であれば、実際に人が入居し始めた時には物件が埋まってしまっていることも少なくありません。また、駅チカの物件や住みやすい人気の場所、交通機関が整っている場所などで新築物件を見つけるのは至難の業です。希望の物件を見つけるのに時間を要し、人によっては物件購入自体を諦めてしまうかもしれません。
その点、中古住宅ならば人気エリアや自身が希望するエリアの中でも、比較的物件情報を見つけやすいです。新築建設時に人気で埋まってしまったマンションの中でも、一室だけ中古販売されていることもあります。リノベーションすることを前提に家を探せば、立地やエリアの希望、広さなどの条件が揃えば後は自分の好みに仕上げられます。「間取りが気に入らない」と言った問題や、「もっとこの部屋がこうだったら買ったのに」といった不満を上げることもありません。選択肢が広がるため、お気に入り新築物件よりも手に入れやすくなります。
建物の大きさを変えずに新しくできる
リノベーションは、家の土台は変えずに内装だけを工事します。そのため、一から建物を建て替える必要がありません。戸建ての場合、中古住宅や土地を購入して建て替える選択肢もあります。しかし、建て替えるとなると建設基準法に合わせて設計しなければなりません。例えば、建設基準法には「敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していないと建設できない」という接道義務があります。
この基準は現在のもののため、古い物件の場合は道路幅が満たされていない可能性があります。その場合、建て替え時には現行の基準に合わせた建設が必要となるため、道路幅を維持するために建物が小さくなるかもしれません。
建て替える場合、様々な法律の制限が伴います。その点、リノベーションならば元々ある骨組みは変えずに内側だけを変えられるため、法律を気にする必要がありません。
リノベーションの減税が受けられる
リノベーションを行うと、さまざまな減税制度が受けられます。・所得税の控除
・固定資産税の減額
工事の種類 |
控除額 |
|
耐震リフォーム |
現行の耐震基準に適合する耐震改修工事 |
所得税:最大62.5万円 固定資産税:2分の1軽減 |
バリアフリーリフォーム |
①通路等の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良 ⑤手すりの取付け ⑥段差の解消 ⑦出入口の戸の改良 ⑧滑りにくい床材料への取替え |
所得税:最大60万円 固定資産税:3分の1を軽減 |
省エネリフォーム |
1窓の断熱工事 2床の断熱工事/天井の断熱工事/壁の断熱工事 3太陽光発電設備設置工事 ④高効率空調機設置工事/高効率給湯器設置工事/太陽熱利用システム設置工事 |
所得税:62.5万円、67.5万円 固定資産税:3分の1を軽減 |
同居対応リフォーム |
①調理室の増設 ②浴室の増設 ③便所の増設 ④玄関の増設 |
所得税:最大62.5万円 |
長期優良住宅化リフォーム |
住宅の耐久性を向上させるリフォームを行い、長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合 |
所得税:62.5万円、75万円 固定資産税:3分の2を軽減 |
リノベーションのデメリット
ここまで、リノベーション工事を行うメリットについて解説してきました。しかし、中古住宅を購入してリノベーションを行う場合、デメリットと感じられる部分もあります。
補強工事が必要な場合がある
戸建ての中古住宅の場合、一見綺麗な状態に見えても構造部分が衰えている可能性があります。いざ工事を進めたところ、補強工事が必要になるかもしれません。また、1950年から2000年までに建てられた2階建て以下の木造住宅は、9割以上の家が耐震性が不足しているといわれています。現行の耐震基準をクリアしなければならないため、築年数が経っている戸建ては耐震工事が必要になるでしょう。工事期間が必要になる
中古住宅を購入してリノベーションする場合、購入から居住までの期間が必要です。どのような家にするのか、設計を始めてから実際に住み始めるまでには4ヶ月~6ヶ月かかるといわれています。新築分譲住宅をそのまま購入した場合、購入から引き渡しまでにはそれほど期間はかかりません。また、購入から引き渡しまでの期間、新たな家の住宅ローンの返済が始まります。現在暮らしている家の家賃と二重で支払うことになるため、金銭的な負担は高くなります。できるだけ費用を削減したい人や、すぐに引っ越しを考えている人にとってはデメリットとなるでしょう。
自分好みにできるとは限らない
中古住宅を購入してリノベーションを行う場合、注文住宅のようにすべてを自分好みにできるとは限りません。住宅の構造によっては、希望の間取りにできない可能性もあります。特にマンションの場合は、戸建てよりも自由度が下がります。予め構造や図面をチェックし、自分たちが希望する家が実現できるか確認しておきましょう。難しい場合、どのような構造ならば叶えられるのかリノベーション会社に相談するのも一つの方法です。
戸建てとマンションの違い
中古住宅を購入してリノベーションを行う場合、戸建てとマンションどちらを購入するのか悩む方は多いでしょう。ここでは、戸建てとマンションの違いについて、メリット・デメリットと共に解説します。
戸建てのメリット
戸建ての中古住宅を購入してリノベーションする場合、戸建てだからこそ叶えられるメリットがあります。戸建てのメリットは、自由度の高さと建て替えができる点です。購入後も長く住み続けるという部分において、中古住宅でもリノベーションするメリットは大きいでしょう。自由度が高い
戸建ての場合、建物すべてが自分たちの所有物となります。マンションのように一つの建物に他の住人が住んでいる状況ではないため、リノベーションの自由度が上がります。例えば、窓や玄関を大きくして開放的な家にすることもできますし、土地に余裕があれば増築も可能です。
また、2階建ての家を3階建てにできるので、小さな家も家族が暮らせるスペースに広げられます。キッチンの場所を変えたり、お風呂そのものを変えたりできるので一から自分たちが求める空間に仕上げられます。
建て替えられる
戸建てのメリットは、建て替えられる点です。中古住宅を購入してリノベーションをする際、購入時に補強工事などを行っていないと長年住み続けた時に老朽化が進みます。壁や天井が気になってきた時に、建て替え工事を行えます。
また20年、30年と住み続けていくと、家族のライフステージは変化するものです。購入時は子どもとの生活を考えて大きくしていた家を、子どもが巣立ったタイミングで小さくすることもできます。購入後に自由に建て替えられるのが、マンションと比べた時の戸建ての一番のメリットと言えるでしょう。
戸建てのデメリット
戸建てのリノベーションは、実はマンションのリノベーションよりも高度な技術が求められます。マンションとは異なり、構造躯体から工事を行うからです。そのため、技術力のあるリノベーション会社に依頼する必要があります。リノベーション会社の中でも、戸建てリノベーションに強いところとそうでないところがあります。戸建てのリノベーションを考えるならば、技術力のある会社を見極められる知識が必要です。会社選びは慎重に行いましょう。
また、戸建てのリノベーションの場合、リノベーションのデメリットにも記載したように内部は腐食している可能性があります。工事を進めてから予想外の資金が必要になるかもしれません。思い立ってすぐ行うのではなく、しっかり調査する時間を設けましょう。
マンションのメリット
中古マンションを購入してリノベーションをするメリットは、住まいの選択肢が増やせる点です。また、マンションは戸建てに比べて資産価値が下がりにくいため、将来のことを考える人はマンションが最適かもしれません。戸建てとは違い、オートロックなどセキュリティ面に優れているのも安心できるところです。人気エリアにも住みやすい
分譲マンションは、駅チカや都心などのアクセスしやすいエリアに集中しやすい傾向があります。特に都心部の人気エリアには、充実した施設を揃えたマンションが集まりがちです。新築ならば手が出づらいところでも、中古販売されている部屋を見つければリノベーションをしても安く手に入れられます。アクセスの良いところや、便利なところに住みたい人にとっては大きなメリットでしょう。
資産価値が下がりにくい
マンションは、戸建てよりも資産価値が下がりにくいといわれています。なぜならば、マンションの方が戸建てよりも駅チカなど立地が良いからです。そのため、需要が高く購入されやすいのです。子どもたちが大きくなったら小さなマンションに移り住みたい、ライフステージに合わせて生活スタイルを変えたい人はマンションがおすすめです。
高額で売れる可能性が高いため、売ったお金で小さなマンションを購入したり、引越し費用にあてたりできるでしょう。
マンションのデメリット
リノベーションを行ううえで、マンションの一番のデメリットは共有部分は手を加えられない点です。戸建てのように玄関や窓の大きさを変えることはできず、ベランダや廊下部分には手を加えられません。戸建てと比べると、自由度が下がってしまうのもマンションのデメリットです。自分が考える理想の家を実現したい、マンションのリノベーションだと限界を感じる人は戸建てが向いているかもしれません。
中古物件のリノベーションに使える補助金や税金控除
中古物件を購入してリノベーションする場合、国から補助金や税金控除が受けられます。いくつか受けられる制度はありますが、その中でも代表的な3つの制度をご紹介します。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、省エネに関する改修や、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う費用負担の軽減を目的としています。そのため、こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約等を締結してリフォーム工事を行た人が対象です。対象者は、住宅を所有し、居住する個人またはその家族が当てはまります。対象となるリフォーム工事は以下の通りです。
・開口部の断熱改修
・外壁、屋根・天井または床の断熱改修
・エコ住宅設備の設置
先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業は、熱損失が大きい窓の断熱性能を高めるための工事を対象に補助している事業です。断熱性能を高めることで、省エネルギー性能の確保に貢献しています。対象者は、窓リノベ事業者と工事請負契約等を締結して中古住宅の窓のリフォーム工事を行った、住宅を所有し、居住する個人またはその家族が当てはまります。
対象となるリフォーム工事は以下の通りです。
・ガラス交換
・内窓設置
・外窓交換
給湯省エネ事業
給湯省エネ事業は、高効率給湯器の導入支援を行うことで家庭のエネルギー消費の削減に貢献している事業です。対象者は、給湯省エネ事業者と契約を締結して以下の方法で高効率給湯器を導入した人です。・リフォーム時に対象機器を購入し設置した
・既存給湯器から対象機器への交換設置を条件とする中古住宅を購入した
・家庭用燃料電池(エネファーム)
・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)
・ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
まとめ
中古住宅を購入してリノベーションするメリット・デメリットについて解説しました。中古住宅を購入してリノベーションを行うと、新築物件を購入するよりも費用を抑えやすいです。分譲住宅の購入を検討されている方は、ぜひ中古物件の購入も視野に入れてみてください。補助金を駆使すれば、想定よりも安く自分好みの家を手に入れられるかもしれません。※こちらの記事は2023年2月時点の記事になり今後法改正などにより変更になる可能性がございます。
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