地震に強い家を購入するポイント
地震に強い家を購入するポイント
「地震に強い家はどんなポイントがあるの?」「そもそも家の耐震基準はどのように設定されているの?」不動産の購入を検討している場合、このように考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では地震に強い家を購入するポイントについて解説します。この記事を読めば、地震に強い家を購入するポイントや耐震の基準について網羅できますので、是非ご一読ください。
そこで、今回の記事では地震に強い家を購入するポイントについて解説します。この記事を読めば、地震に強い家を購入するポイントや耐震の基準について網羅できますので、是非ご一読ください。
耐震の基準とは
家の耐震基準とは、地震が来た際に耐えられるかを表す基準のことです。日本は地震大国とも呼ばれていることから、地震災害から家を守るために建築基準法の改正を重ねています。
現在は「新体制基準」が適用されており、1981年6月から改正されています。新体制基準では、震度6〜7程度の揺れに対しても家屋が倒壊しないことを基準としており、2023年時点で変わりません。
また、1981年5月までは「旧耐震基準」に基づいて家が建てられており、1978年に発生した宮城県沖地震を踏まえて新体制基準が設けられました。旧耐震基準では、震度5強の揺れに対応できるよう構造設計されています。
しかし、1995年に阪神・淡路大震災が発生してから、新体制基準はより厳しくチェックされており、地盤調査や地層に最適化された基礎構造の採用が義務付けられています。結果として2000年には建築基準法の改正が実施され、より災害時でも家屋の安全性を保てるよう厳格化されるようになりました。
旧耐震基準と新耐震基準の違い
「旧耐震基準と新体制基準って具体的にどこが変化したの?」と感じている人もいるでしょう。旧耐震基準と新耐震基準では、建物を新築する時の最低ラインの耐震性能が異なります。それぞれの具体的な耐震性能の基準は、以下の通りです。
耐震基準 |
旧耐震基準 |
新耐震基準 |
震度5強の地震 |
倒壊・崩壊しないレベル |
損傷しないレベル |
震度6以上の地震 |
規定なし |
倒壊・崩壊しないレベル |
耐震性能は宮城県沖地震を機に最低ラインを震度5強に設定されています。震度6〜7以上の地震が発生したとしても、倒壊しない建物作りが行われるようになりました。
また、2000年以降の建築基準法の改正では、木造戸建て住宅の新築時は地盤調査が義務化されています。地盤調査に基づいた基礎設計が耐震基準項目に設定されています。さらに、壁の配置バランスや使用建材の抵抗力などもチェック項目に入れたことで、耐震性アップを図っているのです。
耐震診断の内容とは
耐震診断とは日本建築防災協会が定めている、建物が地震によって倒壊しないか確認・調査することです。旧耐震基準で設計された建物は現行の耐震性能を保有していないケースが多いことから、新耐震基準を元に診断を進められています。耐震診断のチェック内容は、以下の通りです。
・基礎
・地盤
・劣化状況
・部材寸法や配筋状況
・コンクリート強度試験
・中性化試験
耐震診断を実施して、耐震性に問題がないかを診断を受けることで住宅の状態を把握できます。必要に応じて補強工事を行い、旧耐震基準の住宅も新耐震基準へ耐震性のアップが可能です。
新耐震基準以外の重要な部分
住宅の耐震性を把握するためにも、新耐震基準は多くのシーンで活用されています。しかし、新耐震基準だけを把握しておけば地震に強い家なのか把握できるわけではありません。新耐震基準以外に重要な部分は、以下の通りです。
・耐震等級
・ホームインスペクション
それぞれ順に解説します。
耐震等級
耐震等級とは、住宅性能表示制度として2000年に策定された住宅の耐震性に応じて3つのランクに分けられた制度です。等級が高ければ耐震性が高いとされており、3等級が最も高い等級になります。
耐震等級1は建築基準法で定められた最低限の耐震性能を備えている住宅を指します。震度6〜7の地震に1度は耐えられるものの、その後に修繕工事が必要な耐震性です。
耐震等級2は耐震等級1に比べて1.25倍の耐震性のある住宅です。震度6〜7の地震に耐えることができ、その後も一部の補修だけで生活できるケースが多いとされています。耐震等級2は高い耐震性から、長期優良住宅の対象になります。病院や学校など避難場所に指定される建物は耐震等級2以上の耐震性が求められる場合が多いです。
耐震等級3は耐震等級1に比べて1.5倍の耐震性があるとされており、震度6〜7の地震に耐え、その後も生活できるレベルの耐震性があります。一度の地震でもダメージが少ないため、余震が発生しても安全性を保てます。災害復興の拠点である消防署や警察署、官公庁などの公共建築物は耐震等級3で建設されているケースが多いです。
また、耐震等級は義務付けられた制度ではなく、住居者の任意での依頼になります。一般的に建築基準法を遵守している住宅であれば、通常通り建築許可が下りるため、無理に耐震等級を受ける必要はありません。あくまで任意で受ける指標として考えておきましょう。
ホームインスペクション
ホームインスペクションとは、住宅診断士の専門知識を持って住宅診断を行うことです。第三者的な視点で住宅の劣化状況や改修するべきポイントを洗い出し、持ち主に対してアドバイスを行います。基本的にホームインスペクションは、目視で屋根や外壁・床下などの劣化状況を確認します。所要時間は一戸建ての場合は2〜5時間程度で行われるケースが多いです。
基本的にホームインスペクションは、目視で屋根や外壁・床下などの劣化状況を確認します。ホームインスペクションを依頼することで、現時点での耐震性能や住宅の劣化具合の把握が可能です。
一般的には住宅の持ち主がホームインスペクションを依頼するケースが多く、住宅を引き渡す前と後、いずれも依頼できます。売主の中には欠陥住宅を販売してしまうと買主とトラブルが発生してしまうため、ホームインスペクションを依頼するケースがあります。ホームインスペクションを依頼することで、耐震等級とは別の視点から地震対策を進められるでしょう。
地震に強いとされる家のポイント
地震に強い家を購入するためには、ポイントを把握しておく必要があります。各種ポイントを把握しておけば、地盤や構造など事前に確認が可能です。ここでは、地震に強いとされる家のポイントを解説します。
地震に強い地盤
地盤と家は密接な関係にあり、目に見えない部分ですが非常に重要な役割を担っています。地盤とは、地表から約100mまでの部分です。地盤の上に建物を建てるため、地盤が弱いと家が歪んでしまったり設計通りに基礎を構築できなかったりします。地震に強い家を建てる際は、地盤の硬い土地を選びましょう。地盤の硬い土地は「硬土地盤」と呼ばれます。硬土地盤は硬い岩盤でできているため、地震の揺れが伝わりづらいと言われています。さらに、硬土地盤は地震によって発生する液状化現象のリスクが低いです。
一方、地盤のやわらかい土地は地震に弱いとされています。やわらかい地盤は泥や水を多く含んでいるため、強度が低いケースが多いです。水分を多く含む場合は、地震発生時に揺れが大きくなってしまいます。
地盤の硬さはご自身でも確認できます。あらかじめ、内閣府の防災ページを確認して、地盤の硬い土地を選びましょう。
地震に強い基礎
地震に強い家は基礎の施工によって左右されます。家を支える基礎が十分でない場合、地震発生時に倒壊する可能性が高いです。住宅の基礎は大きく分けて以下の2つです。・ベタ基礎
・布基礎
それぞれ順に解説します。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、住宅の底面に鉄筋コンクリートを流し込み施工する方法です。地面全体をコンクリートで覆うため、建物にかかる重量を分散できます。ベタ基礎の特徴は耐震性に優れている点です。建物を支える力が分散されるため、布基礎よりも耐震性を高められます。特定の部分へ力がかかりすぎることもないため、地震による地盤沈下を防げる可能性が高いです。
また、ベタ基礎は底面を全てコンクリートで覆うため、湿気やシロアリ被害を防げます。木造住宅の場合は、湿気やシロアリ被害を防げるかは、メンテナンスに大きく関わる部分です。住宅の品質を維持し続けながら、メンテナンス頻度を抑えたい場合はベタ基礎がおすすめと言えるでしょう。
ただし、ベタ基礎はコンクリートの使用量が多いことからコストがかさむ点がデメリットです。できるだけコストを抑えて住宅の施工を依頼する場合は注意しましょう。
布基礎
布基礎とは、住宅の壁に沿ってコンクリートを打ち込む施工方法です。木造建築住宅は布基礎で構成されているケースが多いです。縦に伸ばす「基礎梁」と、横に広げる「フーチング」の2つで作り上げます。
布基礎は部分的にコンクリートを流すため、コストを抑えられる点がメリットです。部分的に住宅の強度を上げるため、基礎全体が軽く地盤のやわらかい土地にも対応しています。さらに、地表深くまでコンクリートを打ち込む場合、部分的にベタ基礎よりも強度を高めることも可能です。深い根入れを行なった部分は、地震への抵抗力が高いため地震対策としても有効です。
しかし、一般的に布基礎はベタ基礎に比べて耐震性が劣ります。ベタ基礎は面で住宅全体を支えますが、布基礎は点をつないで支える構造となるためです。地盤がやわらかい部分でも建設できる一方で、安定性は地盤に大きく左右されます。やわらかく弱い地盤に立てる場合、基礎の一部が沈み建物が歪むケースも存在します。布基礎で地震に強い住宅を建てる際は、地盤の強さを十分に確認し、地盤改良を行なった土地を選びましょう。
地震に強い家の形
住宅が地震に強いかを判断する指標として家の形が挙げられます。地震に強い家は、正方形や長方形です。正方形や長方形のようなシンプルな形は、地震に対しての耐久性が高いです。正方形や長方形は6面全てが一体になるため、住宅を全体で支えます。地震が発生してもエネルギーが分散されるため、住宅の倒壊リスクを防げる可能性が高まるでしょう。また、正方形に近い形になると、地震発生時のエネルギーが均等になり広く分散されるため耐震性が高いです。住宅が地震に強い形か判断する際は、真上からの形状で判断すると良いでしょう。
一方、複雑な形の住宅は地震に弱い傾向にあります。複雑な形の住宅は地震発生時にエネルギーがうまく分散されず、耐震性が低下する可能性が高いです。特にガレージのある住宅は、構造上壁がないため、強度が低下する恐れがあります。住宅を上空から見て凹凸が多い場合は、地震に弱い可能性があるため耐震性の調査を依頼しましょう。
地震に強い間取り
地震に強い住宅は基礎や地盤以外にも、間取りが大きく影響を与えます。地震に強い住宅は、シンプルな間取りであるケースが多いです。耐震性の観点では、平屋で部屋数が少ない住宅が地震に強いとされています。2階建てや3階建ての住宅は高さがない分、地震による揺れが少なく負担が少ないケースが多いです。また「部屋数が多ければ耐震性がアップするのでは」と考えている人も多いでしょう。しかし、部屋数が多ければ柱が減少し、耐震性が減少してしまいます。部屋数の少ない住宅は柱・梁・壁が多く、地震が発生してもエネルギーを分散させられます。
一方で、大きな吹き抜けやビルトインガレージのある住宅は、歪な間取りとなり耐震性を損なう可能性が高いです。複雑な間取りは家の形にも影響するため、設計の段階で注意が必要です。シンプルな間取りの住宅は地震に強いため、複雑な間取りの場合はホームインスペクションを依頼するなどして対策を行いましょう。
まとめ
今回の記事では、地震に強い家を購入するポイントについて解説しました。地震に強い家は地盤や基礎・形など、さまざまな要因によって決められます。地盤の硬い土地に住宅を建てたとしても、基礎や形が悪ければ耐震性は低下してしまいます。あらかじめ地震に強い住宅のポイントを把握しておくことで、トラブルを防ぎ安心して住み続けられるでしょう。また、地震に強い家を購入するためには、耐震の基準についても把握が必要です。場合によっては耐震等級の診断やホームインスペクションを依頼することで、第三者視点で耐震性を把握できます。自分だけで判断ができない場合には、不動産会社を含めた専門家に相談すると良いでしょう。
※こちらの記事は2023年2月時点の記事になり今後法改正などにより変更になる可能性がございます。
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