相続した不動産を売却する際の注意点
相続した不動産を売却する際の注意点
「相続した不動産を売却する際の注意点は?」
「どんなことに気を付ければいいの?」
不動産を相続した人の中で、このように考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では相続した不動産を売却する際の注意点や、相続した不動産を売却するメリットについて紹介しています。
この記事を読めば、相続した不動産を売却する際の注意点について網羅できますので、是非ご一読ください。
「どんなことに気を付ければいいの?」
不動産を相続した人の中で、このように考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では相続した不動産を売却する際の注意点や、相続した不動産を売却するメリットについて紹介しています。
この記事を読めば、相続した不動産を売却する際の注意点について網羅できますので、是非ご一読ください。
目次
共有名義時は全員の同意が必要
相続した不動産を売却する際の1つ目の注意点は、共有名義時には全員の同意が必要になることです。
一つの不動産を複数人で相続した場合に、その不動産を売却するには共有名義全員の同意が必要になるためトラブルや揉めるケースが増えやすい点は覚えておきましょう。
共有名義全員の同意を得る必要があるのは以下の2つです。
売却自体の同意
まずは相続した不動産を売却すること自体の同意を得る必要があります。共有名義のうちの一人が不動産に住んでいる場合や店舗や工場で事業を継続している場合に、名義人同士で意見が割れてしまうこともあります。
共有名義人から売却の同意が得られない場合は、後述する早期に売却するメリットや不動産を所有し続けるデメリットを説明し、共有名義人全員を説得しましょう。
売却価格の同意
売却自体の同意が得られたら、次は「いくらで売却するのか?」を話し合う必要があります。売却の同意を得られても売却価格について全員を納得させるのは難しいため、不動産会社に査定を依頼して適正価格を教えてもらうのがおすすめです。
しかし、それぞれが知り合いの不動産会社などに依頼をすると査定の価格に差が生まれるケースもあります。
たとえば、高い査定価格を提示してきた不動産会社を見つけた共有名義人が「自分の手柄だ」と売却価格のうち多めの割合を主張する可能性も出てきてしまいます。
そのため、共有名義人全員が納得した特定の不動産会社に査定をお願いするのが良いでしょう。
事前に売却価格の最低ラインを話し合っておくことで、相続した不動産の売却がスムーズに運ぶことになるでしょう。
贈与税の課税対象に注意する
相続した不動産を売却する際の2つ目の注意点は、贈与税の課税対象に注意することです。
不動産を相続して売却する方法には共同登記型と単独登記型があります。
共同登記型
共同登記型とは、不動産を相続する際に法定相続の割合で複数名の共有名義にした後に、共有持分のまま売却をする方法です。共同登記型で相続不動産を売却する際には、先述した共有名義全員の同意が必要になる点には注意が必要です。単独登記型
単独登記型とは、不動産を相続する際に遺産分割協議で決定した特定の相続人が不動産を相続して売却した後に、売却で得た現金を他の相続人に分配する方法です。共同登記型の場合は、売却に反対する人がいた場合や海外などの遠方に在住している人がいる場合に売却が難しくなりますが、単独登記型の場合にはこのようなデメリットがありません。
単独で所有している不動産を売却するだけなので、自分の意思で売却の手続きを進めることができます。
しかし、単独登記型にはデメリットがあります。
単独で所有している不動産を売却した後に、売却で得た現金を他の相続人に分配する際に贈与の対象になる可能性があることです。
これを回避するためには、不動産の相続人を決定する遺産分割協議書に、売却後に現金を等分に分けることを目的として不動産を相続することを明記する必要があります。
単独登記型で不動産を相続する場合は、遺産分割協議の際に売却方法と分割方法まで決めておくとスムーズに進むでしょう。
売却期限は3年以内を目安
相続した不動産を売却する際の3つ目の注意点は、売却期限は3年以内を目安にすることです。
3年以内に売却することで控除や特例を受けられるため、相続した不動産の保有を悩んでいる人は早期に売却することを視野に入れましょう。
相続した不動産を早期に売却することで受けられる控除や特例と、早期に売却するメリットを解説していきます。
取得費加算の特例
まずは、取得費加算の特例について紹介します。取得費加算の特例とは、相続した不動産を相続税の申告期限から3年以内に売却することで、相続税額のうち一定金額を売却時の取得費に加算できる制度です。
不動産を売却する際には譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は課税譲渡所得金額に税率をかけて算出しますが、この課税譲渡所得金額を算出する際に「取得費」が関係してきます。
課税譲渡所得金額の算出方法は以下のとおりです。
収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
引用元:国税庁つまり、取得費の金額が大きくなると、譲渡所得税が少なくなり節税につながります。
また、取得費加算の特例を受けるためには以下の3つの要件を満たす必要があります。
相続や遺贈により財産を取得した者であること
その財産を取得した人に相続税が課税されていること
その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
取得費に加算できる金額は国税庁の計算式をもとに算出されますが、細かい金額を知りたい場合は税理士に相談するのが良いでしょう。
相続空き家の3,000万円特別控除
次に、空き家売却の特例について紹介します。空き家売却の特例とは、相続した不動産を相続開始から3年が経過する年の12月31日までに売却することで、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができる制度です。
被相続人と相続人が同居をしていれば相続人が住み続けるケースも考えられますが、別居していて戸建てを相続した場合には被相続人が住んでいた住宅は空き家になってしまいます。
空き家の老朽化は近隣への被害や街の景観を損ねるなど、多くの悪影響を及ぼしかねません。
そのため、この空き家売却の特例を活用し、早期に相続不動産を売却するのがおすすめです。
空き家売却の特例を受けるためには以下の7つの要件を満たす必要があります。
昭和56年5月31日以前に建築されたこと
区分所有建物登記がされている建物でないこと
相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
売却代金が1億円以下であること
譲渡所得から最大3,000万円を控除して支払う税金を軽減する制度なので、要件に合致する人は必ず申告をしましょう。
相続不動産を早く売却する5つのメリットとは
次に、相続した不動産を売却するメリットについて紹介します。相続した不動産を売却することで得られるメリットは多くありますが、今回は以下の5つを紹介します。
控除や特例を受けられる
固定資産税と都市計画税の負担がなくなる
火災保険料や地震保険料の残存期間分が戻ってくる
遺産分割がしやすくなり相続トラブルを回避できる
相続税の納税資金を確保できる
控除や特例を受けられる
相続不動産を売却することで得られる1つ目のメリットは、控除や特例を受けられることです。
不動産を相続した日から一定の期間が経過する前に不動産を売却することで、先述した控除や特例を受けることができます。
不動産の価値は大きく、不動産を売却する際の税額も大きなものになるため、受けられる控除や特例は最大限有効活用するのがおすすめです。控除や特例を受けるためには期間が設定されているため、相続した不動産を早く売ることで控除や特例を受けられます。
固定資産税と都市計画税の負担がなくなる
相続不動産を売却することで得られる2つ目のメリットは、固定資産税と都市計画税の負担がなくなることです。
相続した不動産を売却せずに保有していると「固定資産税」と「都市計画税」を支払い続ける必要があります。
住宅が建っていることで固定資産税と都市計画税の優遇措置を受けられるため更地や駐車場などよりも税額は低くなりますが、空き家を放置すると「特定空き家」に認定され、優遇措置が受けられなくなります。
不動産を維持するだけで税金がかかるうえに、売却せずに放置すれば税額も増額されるため、相続した不動産を早く売却して固定資産税と都市計画税の負担をなくしましょう。
火災保険料や地震保険料の残存期間分が戻ってくる
相続不動産を売却することで得られる3つ目のメリットは、火災保険料や地震保険料の残存期間分が戻ってくることです。相続した不動産に建物が建っていた場合、多くの場合は火災保険や地震保険に加入しているでしょう。
火災保険や地震保険を途中で解約した場合、契約期間の残りの年数分は解約返戻金として返還されます。
たとえば、10年契約で火災保険に加入していた場合に、相続した時点で残り5年分残っていれば5年分の保険料が戻ってくるため、放置している年数分の返戻金が減ることになります。
ただし、火災保険を解約する際の手数料や、自分で保険会社などに申請する必要がある点には注意しておきましょう。
遺産分割がしやすくなり相続トラブルを回避できる
相続不動産を売却することで得られる4つ目のメリットは、遺産分割がしやすくなり相続トラブルを回避できることです。
不動産を共有名義にすると売却時の名義人全員の同意や固定資産税など税金の負担割合、不動産は誰が維持するのかなどトラブルの要因となりますが、売却して現金化することで遺産分割がしやすくなります。
相続した不動産を売却して現金化することで、複数人の相続人がいた場合でも相続トラブルを回避した遺産分割が可能になります。
相続税の納税資金を確保できる
相続不動産を売却することで得られる5つ目のメリットは、相続税の納税資金を確保できることです。
財産を相続した場合は相続税の納税義務が発生しますが、特に不動産の場合は評価額も大きいため、多額の相続税が発生する可能性があります。
現預金の相続であれば相続税を現金で納税すれば良いですが、不動産を相続した場合は簡単に納税ができません。
不動産を売却して現金化することで、相続税の納税資金を確保できるのはメリットと言えるでしょう。
親との同居・別居で税金特例が異なる
相続した不動産を売却する際の4つ目の注意点は、親との同居・別居で税金特例が異なることです。
被相続人と相続人が同居していたかどうかで、利用できる特例が異なり支払う税額に大きな差が生じます。
被相続人と同居していた場合に利用できる可能性がある特例は以下の5つです。
マイホームを売ったときの特例
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
特定のマイホームを買い換えたときの特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
不動産の売却では税額も大きくなるため利用できる制度は最大限活用するのがおすすめですが、節税目的で一時的に同居していると判断された場合は、上記のような特例を利用できなくなります。
以下の3つに該当する場合は売却時に特例を利用できないとされています。
この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋
また、被相続人と同居しているかどうかで相続税額も異なります。
被相続人と同居していた場合には、同居していた土地の面積330㎡までが2割の評価で済みます。
たとえば、土地の面積が300㎡で土地の相続税評価額が1億円だった場合に、被相続人と同居していた場合には土地の評価が2,000万円まで軽減されます。
不動産の評価額においては土地の評価が占める割合が大きいため、詳しい要件等について知りたい方はこちらを確認してください。
取得費、所有期間は親の分を引き継ぐ
相続した不動産を売却する際の5つ目の注意点は、取得費、所有期間は親の分を引き継ぐことです。
先ほど不動産を売却する際の譲渡所得金額の計算方法について紹介しましたが、取得費は不動産を取得した際の購入金額です。
相続した不動産については相続人が取得したわけではありませんが、被相続人が不動産を購入した際の費用が相続人に引き継がれることになります。
また、譲渡所得税を計算する際には、不動産を所有していた期間によって税額が異なります。
長期譲渡所得:課税長期譲渡所得金額×15%
短期譲渡所得:課税短期譲渡所得金額×30%
長期譲渡所得は売却する年の1月1日時点において所有期間が5年を超える場合、短期譲渡所得は売却する年の1月1日時点において所有期間が5年以下の場合を指します。
相続人が引き継いでから起算すると必ず「短期譲渡所得」に該当してしまいますが、相続の場合は被相続人が購入した日から所有期間を計算します。
そのため、被相続人が5年を超えて不動産を所有していた場合には長期譲渡所得の対象となり、税額が少なくて済みます。
利益が出た場合は確定申告が必要
相続した不動産を売却する際の6つ目の注意点は、利益が出た場合は確定申告が必要になることです。
確定申告が必要になる場合の注意点や申告方法などについて解説していきます。
被相続人が契約をした売買契約書を探す
まずは、不動産を相続した場合は被相続人が契約をした売買契約書を探しましょう。先述したとおり、取得費や所有期間によって譲渡所得税額が異なりますが、被相続人が「いくらで」「いつ」不動産を購入したのかは相続人が引き継ぐことになります。
そのため、売買契約書を探して購入時の金額と日付を確認する必要があります。
万が一売買契約書が見つからない場合には、取得費は売却価格の5%として計算されますが、この方法では購入金額よりも取得費が小さくなるケースがほとんどです。
取得費の金額が小さいと支払う譲渡所得税が増えることになりますので、売買契約書の保管場所について生前から確認しておくのが良いでしょう。
確定申告の仕方
次に、確定申告の方法を紹介します。確定申告は、申告書に必要事項を記入して税務署に提出します。
現代ではネットでの申告書のダウンロードや、オンラインで申告する方法もあります。
申告方法がわからない場合には、不動産会社から税理士を紹介してもらうか、ネットでお願いする税理士を探してみても良いでしょう。
確定申告の申告期限
次に、確定申告の申告期限を紹介します。確定申告は、一般的には1月1日から12月31日までの所得を翌年の2月16日から3月15日に申告する必要があります。
不動産を売却して利益が出た場合には、不動産の「引き渡し日」もしくは「売買契約締結日」が行われた年の翌年2月16日から3月15日に申告しなければいけません。
この期間を過ぎてしまうと延滞税や加算税など余計な税金を支払うことになってしまうため、期限内に必ず申告しましょう。
まとめ
今回は、相続した不動産を売却する際の注意点について紹介しました。注意点としては争いごとになる可能性や、売却時の納税額を多く支払ってしまう可能性などさまざまなものがあります。
親から不動産を引き継ぐケースが多いですが、兄弟姉妹や親族と揉める要因は作りたくないですよね。
これらのリスクを避けて不動産を相続するためにも、不動産や相続について正しい知識を身に付けておきましょう。
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※こちらの記事は2023年2月時点の記事になり今後法改正などにより変更になる可能性がございます。
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※こちらの記事は2023年2月時点の記事になり今後法改正などにより変更になる可能性がございます。
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